開業したばかりの頃、「広告を出しましょう」と業者からの電話がたくさんかかってきました。業務妨害とまでは言いませんが、情報化社会の怖さを感じました。
大規模な店舗や医療機関では、集客のために広告が必須かもしれません。でも、小規模な医療機関では、患者がたくさん来すぎると機能不全に陥ることがあります。
業務の大半が断りの電話対応になってしまうと、無駄に疲れてしまい、普段の業務に影響が出ます。さらに、患者が多すぎると、一人一人に費やす時間が短くなり、結果的に診療の質が低下してしまいます。質の低下や待ち時間が長くなることで、患者さんの満足度が下がり、最終的には患者さんが離れてしまうのです。やはり、バランスは大事です。
各医療機関は専門領域や重症度、介護度などを考慮して、受け入れの判断をしています。それが結果的に各施設の安定した医療の提供につながります。
どの事業でも同じで、広告を出せばいいというわけではありません。大型店舗でも過度に広告を出すことはありません。群衆事故や雑踏事故を避けるため、また混雑が渋滞や停滞を引き起こし、売り上げが逆に減ることもあるからです。つまり、処理しきれない人数を呼び込むことは避けるべきということになります。
小規模クリニックがあまり広告を出さない理由は、このような考え方に基づいています。