2025年3月24日月曜日

血液の遠沈分離

生化学検査において、遠沈分離は溶血によるデータ変動を避けるために必要な処置になります。しかしすぐさま遠沈分離をしてもいけません。血液採取後、わざと凝血させてから遠沈分離にかけるのですが、その理由は次のような理由からです。

血液を採取後、一定時間放置すると自然に凝固します。血液を凝固させることで、血清(serum)を得ることができます。
その後、遠心分離を行うことで、血清と凝固した血液成分(血餅)を分離できます。この過程を経ることで、血清中の成分が安定し、正確な測定が可能になります。
血清とは、血液が凝固した後に残る液体成分であり、血漿(plasma)とは異なりフィブリノーゲンなどの凝固因子を含みません。血清を用いることで、凝固因子の影響を受けずに正確な生化学検査を行うことができます。
生化学検査とは肝機能、腎機能、電解質、ホルモン測定などのことです。
未凝固の血液を遠心分離すると、凝固因子が影響を及ぼし、測定値に誤差が生じる可能性があります。
血漿を用いる場合は抗凝固剤を添加する必要があり、検査の目的によって適切な処理が求められます。

まとめ
血液検査において、血液採取後に凝固させてから遠心分離する理由は、
・血液の自然な凝固過程を利用するため
・血清を得るため
・検査結果の安定性を確保するため
です。これにより、正確で信頼性の高い検査結果を得ることができます。