2025年7月6日日曜日

妥協しながら物事をすすめる。

迷いやすいのが、「今できることから進める」か「いきなり一番むずかしい山に挑む」か、という選択です。耳ざわりは後者が派手ですが、現実は時間もお金も気力も有限。まずは“できることから”が強いです。理由はシンプルで、手応えが早く返り、学びが速く回り、見た目の結果もたまりやすいから。

ここで大事なのは、“小さな前進=微修正”ではないということ。手を動かすたびに、思い込みや見えていなかった前提があぶり出されます。世界がこちらに「返事」をくれるので、次の一手が具体化します。改善とは、正しさを当てる作業ではなく、現実と対話する回数を増やす作業です。

もう一つ、理想との距離感を整えたい。理想は進むための“方角”であって、一手一手の“厳守ルール”ではありません。理想を掲げすぎると、一手目が重くなり、完璧じゃないから動けないという罠に落ちます。ここで有効なのが「折り合いの技術」。七割で出して、三割は次で埋める。やり直せる設計を選ぶ。期日を守り、品質は段階的に上げる。こうした現実的な妥協は、理念を捨てることではなく、理念を“届く場所”に降ろす工夫だと思います。折り合いがあるから、継続が生まれ、継続があるから、理想に近づく力が貯まります。

では、難関はいつ狙うのか。毎日の小さな改善は、周辺のノイズを削り、問題の核心を浮かせます。周りが整うほど、難関は“最後に残った骨格”としてはっきり名指しできるようになる。名指しできた困難は、測れる/試せる/壊せる対象になります。ここで一点突破を仕掛ける。つまり順番は「足場 → 跳躍」。足場が脆いと跳躍は賭けになりますが、足場が厚いと跳躍は計算になります。妥協を混ぜた改善の積み重ねは、この“計算できる跳躍”を可能にします。

結論としては

まず“できること”を進める。

理想は方角として握り、一歩一歩は現実と折り合いながら動く。

運転のコツは二つ。

①小さな前進で「今日は何が変わったか」を可視化する(続ける理由が増える)。

②ときどき立ち止まり、「最難関との距離は縮んだか」をだけ点検する(迷走を防ぐ)。

③小さな改善。実は無駄ではなく、革命レベル。

割合は八割を確実に効く改善、二割を少し背伸びの実験に。ヒーロー的一撃より、職人的な一打を加え続ける。その繰り返しが、理想に近づくいちばん現実的な道であり、妥協を含んだ前進こそが、結果としていちばん遠くまで届くことができると思います。

ただ、口だけ評論家と同じになりますが、二割できていないことに目くじらをたてる人ほど、八割成し遂げたことを評価できないし、その八割すら成し遂げられない人が多いように思います。逆に成し遂げられなかった二割に不満を持たない人は八割成し遂げたことの大変さを理解しているのだと思います。