保険料と税金と産業

医療費の抑制が声高に求められ、人件費も上昇を続けるいま、
医療はすでに「産業」として、そして揺るぎない「内需」（GDP）として成り立っている。
その一方で、この「産業規模」そのものを縮小すべきだという議論が静かに、しかし確実に広がりつつある。
突き詰めれば――
医療という産業を小さくし、そこで働く人員を削減せよ、という方向性に行き着く。

「税金を上げないために公務員を減らせ」
「保険料を上げないために医療者を減らせ」

こうした議論の根底には共通点がある。

それは、役場も医療も「産業」であり、そこで働く人々の雇用によって支えられているという事実だ。
合理化は必要だ。だが、合理化の帰結として避けられないのは、
サービスの縮小にとどまらず、雇用そのものを削る社会構造の変化である。

減っていく国会議員、減っていく医療者、減っていく公務員――
その先にあるのは、単なる効率化ではなく、
社会の根幹を支えてきた職の消失

もちろん少子化による人口減少ということもあって、人材不足改善につながる面もあるが、労働流動性（複数技能取得）を考えていかないと社会情勢の変化に対応できず失業者は増えていくことにもなるだろう。