2025年5月7日水曜日

傷には、きれいな湿潤環境

私が考える創傷治癒で一番重要なことは

・湿潤環境

・消毒液の害

 
と考えています。


感染を起こしている場合は積極的にイソジンなどの消毒液を使います。

また、あとしっかりと痂皮化されている、またはしっかりと癒合している場合は、イソジンは問題ないと言えます。

問題は擦過傷や開放創、癒合に至っていない創縁などについてはイソジンなどの消毒液は創外の使用に限定されます。創外の殺菌、消毒はやはり怠ってはいけません。創縁ぎりぎりまで周囲の皮膚をしっかりと消毒することです。そして創内に入らないように余分な消毒液をふき取ることも重要です。

ただそこまで傷を思いやっているのに、ガーゼ交換の時に、イソジンで創内をしっかりと消毒して、消毒液を残したまま貼付剤を貼るケースもあったりします。

消毒液は再生肉芽を殺してしまうので、原則感染がなくなってから創内は水道水での洗浄にとどめ、感染を疑って創内に消毒液を使用したとしてもそのあとしっかりと水道水で流し、ふき取ってから、貼付材を貼るようにすべきです。

※皮下組織と交通している場合は、水道水ではなく、生理食塩水を使用します。

感染が消失してから次に重要なのでは湿潤環境です。乾燥させず、『きれいに湿潤させる』ことがポイントです。

 臨床現場ではこのように維持された『きれいな湿潤環境』でも改善に限界を感じる場合もあります。そういう場合は思い切ってユーパスター+ガーゼ (イソジンシュガーを創内に詰め込み、ガーゼで覆う)、これはつまり『消毒液の必要悪とちょっぴり乾燥』という真逆の処置になります。が、不思議なことにこれで一気に治っていったりします。引いてだめなら押してみろ ってことだと思います。

 ※実際の処置には専門家による正確な創傷の確認と判断が必要です。