ドーパミンバランス

ドーパミンは脳内で「報酬系」の働きを担う神経伝達物質であり、快感やモチベーション、集中力などに深く関与しています。しかし、過剰分泌とその後の枯渇が続くと、注意散漫などの精神的不調が引き起こされることがあります。その理屈を説明します。

①ドーパミンの過剰分泌と刺激の依存 
何か楽しいことや刺激的なことをすると、脳はドーパミンを大量に分泌します。例えば、SNS、ゲーム、ギャンブルなどがこれに該当します。これらの活動が頻繁に繰り返されると、脳は「これがなければ満足できない」と学習し、より強い刺激を求めるようになります。

・少量の飲酒が、強い刺激を求めるあまりに、連日大量飲酒になる。
・最初は数百円のギャンブルから、刺激を求めるあまりに、数十万、数百万のギャンブルに興じてしまう。
・薬物依存状態から脱却することなくさらに頻度、量が増加してしまう。
・承認欲求で施術を繰り返す美容整形依存症になる。

・少量喫煙から徐々に過剰喫煙となり関連疾患を患う。

②神経受容体の鈍化 
　ドーパミンが頻繁に過剰分泌されると、ドーパミンを受け取る神経受容体が鈍感になります。この状態では、通常の活動（読書、仕事、日常のタスク）では十分な快感を得られず、集中力が低下しやすくなります。

③枯渇による意欲低下と注意散漫
 過剰な刺激の後には、ドーパミンの枯渇が起こります。ドーパミンの分泌量が減ると、脳が「やる気スイッチ」をうまく入れられず、注意力が散漫になり、物事に集中しづらくなります。また、次の強い刺激を求めてしまうため、一つのことに長時間取り組むのが難しくなることもあります。
このメカニズムは、スマホ依存や注意欠陥・多動性障害（ADHD）、双極性障害など精神疾患にも関連すると考えられています。

対策としては、適度な刺激のコントロールや規則正しい生活リズムの維持が重要です。
ドーパミン量や作用感度を考え、特殊事例を除くと、どのような環境に置かれていても、人には同じ量の幸せと同じ量の不幸がやってきます。現実生活を優先し、それぞれの山や谷を高く、深くすることも、低く、浅くすることも、長く短くすることもできると思います。